大阪の建築家プロ集団のオープンハウス

建築家プロ集団 イベント報告・オープンハウス

 
< 大和郡山の家 >
設計者 株式会社 メガ  長坂 大
日時 平成18年5月20日  
所在地 奈良県大和郡山市城町
 
天気予報ではあまり芳しくない空模様でしたが、オープンハウス当日は春の陽気と心地よい風が舞い踊る晴天に恵まれました。

場所は郡山城跡から程よい上り坂を緩やかに歩いて10分程の高台に位置していました。敷地は前面道路から約3mくらい高いところに位置しており車が行き交う道路からの高低差は騒音防止にも役立っているように思えました。外観は不思議な形状をしています。前面道路の面と向かって右側は垂直の壁ではないのです。斜めです。そこで設計者の長坂氏に尋ねてみました。氏曰く、北の前面道路の擁壁と西の富雄川からの傾斜の頂点がちょうどこの敷地に位置することから、砦をイメージしたそうです。そしてこの建物もその傾斜に合わせて斜めになったようです。不思議と周辺環境との一体感が生まれていました。内的要因ではなく外的要因からなったデザインということになります。非常にユニークでありました。

当計画は元々あった離れを建替えし、母屋と接合してその母屋も一部リフォームする、といったものです。今回はその離れの建替えをご案内させていただきます。

1階は玄関と水廻り、収納、オーディオルーム、寝室というプラン。母屋と離れの間を階段スペースとしてガラスで囲まれた明るい空間になっている。この階段スペースの壁仕上も外壁材を使用しているため、外部環境を入れ込まない外部のようなニュアンスでしょうか。その階段を上がると2階にはダイニングとそれに面したテラス、そしてそこからさらに3段ほど上がり和室(リビング)という構成。この住宅のメインスペースとなるダイニングとテラスの間にはFIXガラスとサッシのみで、この異なった2つのエリアは一体のような創り方になっています。しかも天井が約4mほどで、テラスに面した高い位置にあるFIXガラスから光が射し込んで、明るく広がった空間構成です。いやいや非常に快適です。ずっとここに居たくなります。テラスも高い外壁に囲われ、室内のような設計。そしてそこから望めるすばらしい眺望!ダイニングから見ると、まるで絵画の美しい風景を見ているようです。広がる風景の一部を切り取ってそこにはめ込んだような。そしてちょうど心地よい風も吹くわけです。最高でした。

和室(リビング)はダイニングとは打って変わった空間創り。天井高は一般的、壁は粗い塗り壁でコーナーはRになっています。ここでは畳の上でゴロンとくつろげる空間。角がなく穏やかなスペース。西に広がる眺望に対しては、畳の上に座ったときに遠くの山並みだけが切取られたように見えるように横長の窓を目線の位置に配していた。

それからちょっと驚きでしたが約30cmほどの高さの地袋(写真一番下)が配されておりなんとなく肘掛にでも出来そうなちょうど良い造作。その天端が向こうに見えるキッチンカウンターの高さと同じなのです。床の高さは違うのですがガラスによって和室とキッチンは仕切られていますが視線は抜けています。ラインを統一することで、美しい空間が創られて行くのだなあと感心しました。

建築家が創る住宅とは美しさと快適さ、豊かさなどを融合させたものなのだなあ、と改めて思い起こした次第です。